静寂を纏う黄金『Nomos Orion 33 Gold』は手首に静かな色気を添える腕時計
ドイツの時計メーカー、ノモス グラスヒュッテは、最近でこそかなり商品ラインナップが増えていますが、それでもやはり、「タンジェント」「ラドウィッグ」「オリオン」の3つはブランドを象徴するモデルだと思います(「テトラ」もいいけど最近は「クラブ」シリーズが人気ありそう)。
中でも、ケースやラグ、ガラス、裏蓋に至るまであらゆる部分に曲線を用いた「オリオン」は、数字を使わないシンプルなバーインデックスの文字盤とともに、おそらくノモスの時計でもっともシンプルなデザインの時計です。オリジナルのオリオン(直径35 mm)は、一見どこかのシンプルなファッションウォッチのようなデザインながら、柔らかい雰囲気のあるホワイト文字盤にゴールドのバーインデックス、青焼き針というディテールが高級感を漂わせ、とくに朝日に照らされたときに極めて美しい表情を見せる時計です。
朝日に照らされるオリオン 35(2018年撮影)
実はオリオン 35も持っていたのですが、今回紹介する『Nomos Orion 33 Gold(ノモス オリオン 33 ゴールド)』が2021年に発表された際、通常版の35 mmさえ最近の時計では珍しい大きさなのに、さらに攻めた33 mm(!)という大きさのあまりのエレガントさ、とくに白いリネンシャツに合わせて袖からチラ見えしたときの想像的色気にただならぬ魅力を感じ、購入するために上の写真のオリオン 35は手放してしまいました。
ノモスの時計は、高級時計だけに細かい仕上げも丁寧になされていますが、実はウェブサイトの商品写真などではその魅力を十分に伝えられていないと思います。上述のオリオン 35も、朝日に照らされたときに実に美しい表情を見せたように、オリオン 33 ゴールドも、オーナーにしかわからない魅力がありますので、本記事ではそれを紹介します。例えば宣伝用の以下画像と、本記事の写真では印象がまったく違うと思います。
商品写真では平坦に見える文字盤
Photo courtesy of NOMOS Glashütte.
柔らかな曲線と黄金の静寂
まずはやはりこの時計の顔についてです。電気メッキのほどこされた文字盤がとにかく美しい。そこにロジウム加工された銀色の針とバーインデックスが静かに時を示します。サブダイアルのスネイル仕上げ(ぐるぐる模様)も時計の顔に繊細な表情を与えています。
光が当たると静かに煌めく黄金の文字盤
この時計は、ぱっと見たときは静かな、まったく派手な雰囲気のない黄金色なのですが、光が当たると雰囲気が一変します。強い光の下では、上の写真のように、夕日を浴びて一面に光輝く豊穣の海を連想させるような、奥行きのある表情を見せてくれます。往年の金曜ロードショーの初代テーマ曲が聞こえてきそうなくらい眩しいです。
また、これが私の最も気に入っている表情なのですが、時計をしまっているクローゼットの扉を開けた際、外からの光が文字盤の上に差し込んだ瞬間の美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります。まるで黄金のミダス王がそっと触れたかのように、暗く、蠱惑的な輝きを静かに放ちます。
Midas touched
仕上げのクオリティの高さがあればこその表情だと思います。上の写真ではその魅力を完全に捉えきれているとは言えませんが、この光が差し込んだ瞬間の美しさのためだけにこの時計を買ってよいと言いたくなるほどの素晴らしさです。
もしこれを読んでいる方で購入を迷っておられるのでしたら、安心してください。絶対に後悔はしません。本記事はこの美しさを伝えるためだけに書いているようなところもあるくらいです。
厚さはわずか8.5 mm
冒頭に書いたように、曲線が多用されたデザインで、長めのラグはわずかに丸みを帯びたケースと一体となっており緩やかなカーブを描いています。腕に載せたときもぴたりと張り付くようで、その薄さとも相まって非常につけ心地は良好です。また、ラグが長いため、腕に載せたときもそれほど33 mmという小ささを感じさせません。
美しいリストショット
Photo courtesy of NOMOS Glashütte.
私のリストショットはまた機会があれば掲載するかもしれませんが、上の写真はノモスの宣伝用画像のものです。女性が着けても男性が着けても、なんともいえない知的な色気が漂います。私の毛の生えた腕の上でもそれは多分同様と思われます。
ライトグレーのベロアストラップは完璧に調和
ライトグレーのベロアストラップは、この時計に完璧に調和しています。おそらく黒や茶色の革ベルトは、この時計のユニセックスな佇まいに少し違和感を与えそうな気がします。
しかし、純正ベロアストラップの耐久性は正直それほどではありません。使っているうちにだんだん黒ずんできます。これは消耗品と考えたほうが良さそうです。ちなみに、替えのストラップを一度ノモスの公式ウェブサイトで注文したことがありますが、ドイツからシンガポールまでほんの数日で届きました。
ムーブメントは信頼のノモス手巻きキャリバー アルファ
搭載された機械は、数々のノモスのモデルに搭載されている手巻きキャリバー α(アルファ)です。2.6 mmという薄さがこの時計の薄さを実現しています。パワーリザーブは約43時間。
裏から覗くことのできるムーブメント(個体番号は画像加工で消しています)
この小さな時計は、毎朝身につけるたびに巻き上げるような使い方が似合う気がします。
ベルトがグレーのベロアレザーなので、スーツというよりは、ジャケット&トラウザーズなファッションや、なんといっても夏場に白のリネンシャツに合わせると、静かな色気をあたなの手首に添えてくれます。もちろん秋冬に着けてもこのゴールドカラーはファッションに暖かみを添えると思います。RPGで例えるとすれば、この直径33 mmのオリオンを装備すれば、知力が3上がりますが、リネンシャツと合わせるとさらに魅力が5上がると言ったところです。
正直なところ、この時計はその33 mmというメインストリームから逸脱したクラシックな大きさから、ノモスコレクションの中でもそれほど注目を集めるモデルではないかもしれません。しかし、わかりやすいラグジュアリーとは一線を画す、見過ごすには惜しい魅力に溢れた、ノモスコレクションの中でも隠れた名品だと思います。マスキュリンでBDEな価値観とは距離を置き、知的で控えめなものにこそ魅力を感じる方にとって、そんなスタイルを表現するのに最適な時計です。
SPECIFICATIONS
モデル名:Orion 33 Gold
型番:Ref. 359
ケース素材:ステンレス鋼(全面ポリッシュ仕上げ)
ムーブメント:自社製手巻キャリバー α(アルファ、パワーリザーブ 43時間)
文字盤:ゴールド(ガルバナイズド・金メッキ仕上げ)
インデックス:ロジウムメッキ・アプライド(バーインデックス)
直径:32.8 mm
厚さ:8.5 mm
ラグトゥラグ:42.3 mm
ラグ幅:18 mm
防水性能:5気圧(日常生活防水)
価格:387,200円(税込)※本記事には、NOMOS Glashütte公式サイトのプレス素材を使用しています。
※本記事で紹介したモデルの詳細は、ノモス公式ページ(Nomos Orion 33 Gold)をご参照ください。